苫小牧研究林の散策

苫小牧研究林は約2,700ヘクタールの森林を保有する北海道大学の施設で、森林生態系に関する様々な研究・教育が行われています。その一方でこの豊かな自 然を一般の方々も享受できるよう、一般ビジターの利用も歓迎しています。ビジターは庁舎前の駐車広場に自動車やバイクを止め、庁舎周辺の生態博物園を徒歩 で自由に回ることができます。
 生態博物園は樹木園、灌木園、池、ビオトープ、ログハウス、あずま屋、山草園、散策路で構成され、一般の方が森への導入部として生 物や森林景観に接し、学ぶことができるよう管理しており、遊技場とは異なります。したがって園内にはゴミ箱は一切置いていません。お互い気持ちよく利用で きるよう、ゴミは必ず持ち帰ってください。

 一方、生態博物園を除く林内への入林は、林内各所で行われている研究に支障のないよう庁舎で許可を取ることが必要です。また、立ち入りは徒歩に限定され ています。林内は成熟林、二次林、人工林で構成され、数多くの動植物を観察することができます。なお研究林一帯はヒグマの生息域でもあり、積雪期を除く一 年中研究林内で複数個体が観察されています。ヒグマは豊かな自然の象徴であり、また我々に自然に対する畏敬の念を喚起させる共存可能な生物です。入林する 場合は、本来ヒグマのすみかである森に自分がお邪魔するのだ、という謙虚な気持ちで入りましょう。また、もしヒグマやその痕跡に遭遇したら慌てず、速やか に立ち去りましょう。

林内への入林に関しては以下のような制限が行われています。

1. 地球レベルの二酸化炭素濃度の変化が森林生態系にどのような影響を与えるかという研究には、直接的な人間の吐息でさえ大きなノイズとなります。ですので、このような観測が行われている場所には全ての入林が禁止されています。立ち入り制限区域は下図のとおりです。

2. 林床植物や菌類の生活史や個体群動態が広い範囲で調べられています。したがって、調査区表示のある場所や熊の沢保存林での山菜やキノコの採取は一切 禁止されています。調査区は林内至る所に設置されているので、山菜・キノコ狩りは市道沿いで行ってください。他の動植物については、すべての場所で一切の 採取を禁止しています。河川や池に生息する魚類も個体識別してその行動や生息数を研究していますので釣りも厳禁です。

3. ゴールデンウィーク前後は、山が乾燥して山火事が発生しやすい時期です。そのため、入林を制限しています。入林には研究林事務所にて許可を受ける必要があります(玄関前に受付ボックスがあります)。入林は徒歩のみ許可しています。車両の乗り入れはできません。