こ れまでの調査で、研究林には100種以上の樹木と、230種以上の草本植物があることが分かっています。 天然林で優占している樹種は、おもにミズナラ、アオダモ、カエデ類、カンバ類です。さらに、ヤチダモ、シナノキ、オオバボダイジュ、アサダ、アズキナシ、 サワシバなども比較的良くみられます。また、エゾマツやトドマツなどの針葉樹も散生しています。
林床はおもにシダに覆われており、オシダ類が最も優占しています。エンレイソウやユキザサなどの春植物はシダの少ないところに生育します。ササ(ミヤコ ザサ、スズタケ、クマイザサ)がパッチ状に分布しているところではシダが少なくなっています。林床に様々な種類の植物が豊富に生育することは、この森林の 大きな特徴のひとつです。
人工造林は1905年から始まり、カラマツ、トドマツ、アカエゾマツ、エゾマツ、チョウセンゴヨウ、ストローブマツ、ニセアカシアなどの針葉樹がおもに植栽されてきました。
真上から見た広葉樹林の樹冠.
ミズナラ、アサダ、イタヤカエデが複数の層を形成し、林床にはササやシダが茂ります.
エゾエンゴサク(左)とヒメイチゲ(右)
エゾシカ(上)とハイタカ(下)
エゾハルゼミ
苫小牧研究林周辺で特に重要な自然撹乱に、火山噴火と台風の2つがあります。支笏-樽前 火山帯では9000年前から現在まで4回の噴火が記録されています。最後の噴火は330年前で、この噴火に由来する火山灰が苫小牧研究林全体に現在でも
1-2m堆積しています。この噴火時に植生は壊滅的な被害を受けたと考えられます。
苫小牧研究林が1904年に設立してから現在に至るまで、大きい台風が3度記録されています。1954年の台風5号(洞爺丸台風)、1981年後の台風5号と2004年の台風18号です。それぞれの台風により倒れた木の材積は、90,000m3、33,000m3および118,000m3となっています。2004年の台風18号の時は、林内のCO2フラックス観測タワーが倒壊するなどの大きな被害も出ました。
2004年の台風による森林被害